成年後見、信託、生前贈与・・色々聞くけど、自分たちの家族の場合は、どの制度を選べばよいか・・・
今回はよくある事例を通して、成年後見制度と民事信託に絞って、それぞれを使った場合について検討してみます。
<家族の状況>
- 父83歳、母78歳、長男55歳、長女53歳
- 名義の郊外の戸建てのマイホームに父母2人暮し
- 長男、長女はそれぞれ結婚して別々に暮らしている
お父さんは判断能力はしっかりしているものの、最近、体力と気力の衰えを感じ、また、自分の死後の妻の生活について心配しています。
自分の死後の自宅の管理のこと、年老いた妻の生活のこと・・・・
このご家族が安心して暮らせるように、使える制度について考えてみます。
まず、このまま何もしない状態でお父さんの判断能力が低下してしまうと、自宅の処分や管理、お母さんの生活も危うくなる、ということは考えておく必要があります。
①成年後見制度を利用した場合
現時点で、お父さんの判断能力はしっかりしているため、任意後見契約を結んでおくか、判断能力が衰えた段階で、成年後見の申立てをすることが考えられます。
そして、お父さんの判断能力が衰えた場合に、成年後見制度の利用が開始させることになります。
法定後見制度を使った場合、自宅を売却するときに裁判所が必要となったり、後見人費用がかかったりするようになります。
一方、任意後見契約を結んだ場合は、自分で後見人になってもらえる人を選べるかわりに、後見監督人をつける必要があります。
いずれにせよ、成年後見制度は本人のための制度なので、お母さんのために病院代を出したり生活費を出したりすることに制限がかかってくる可能性がでてきます。
②民事信託を利用した場合
このご家族の場合であれば、お父さんを委託者(財産を委ねる人)、長男または長女を受託者(財産の管理をする人)、そして、お父さんやお母さんを受益者(利益を受ける人)とする信託契約を結んで、自宅や預貯金の管理をしてもらうことになります。
不動産は、長男や長女の名義になるため、長男や長女の判断で管理や処分ができるようになります。
受託者である長男や長女は、受益者となる父や母のために(ここが成年後見と大きく違うところです)、財産の管理を行います。
お父さんになにかあっても、お母さんの安定した生活のために財産を使うことができるのです。
これらの制度は、他にもメリットデメリットがあり、単純に比較することはできませんが、この家族のような状況であれば、民事信託の利用を検討してみてもいいかもしれません。
いずれにしても、元気で判断能力がしっかりしているうちに、今後の生活について考えて、準備しておくことは大切です。
いざというときに困ったことにならないよう、家族で話し合いをしておきましょう。
ご自分の家族の場合は、どのように準備しておけばよいかわからない場合は、ぜひご相談ください。
TEL 047-707-2912
あしたば司法書士行政書士事務所
WEB問い合わせはこちら